自動販売機におけるデザイン性の意義

世界的にも自動販売機の設置台数が抜きん出て多い日本において、自動販売機の集客力を高めるための工夫は必然であり、視覚に訴えるデザインは商品のラインナップや自動販売機への追加機能同様に、自動販売機の集客能力を高めるための手段の一つと言えるでしょう。

景観に馴染むデザインが求められる地方自動販売機

現在、日本は観光事業における主要ターゲットを国内から国外に移しており、景観を整えることによる観光へのプラス効果が軽視できないものであると判断され、国内の自動販売機のオーナーに対し、景観への配慮を求める動きが強まっていますが、地方自動販売機はこれに応じ、景観に配慮したデザインを施しています。

地方自動販売機とデザイン性

日本において自動販売機が普及し始めた時期の労働環境から生じた需要、世界でもトップクラスの治安の良さ、景観に対する認識の浅さが重なった結果として、日本では全国津々浦々まで自動販売機が設置されることになり、設置箇所には街中や駅構内のように管理が行き届きにくい場所まで含まれるなど、世界的に日本ほど自動販売機が普及した国は、ほぼないと言っても過言ではありません。

自動販売機の設置台数が需要を超えれば、競争が生じることは避けようもなく、商品のラインナップや自動販売機の追加機能、デザイン性など、様々な形で集客を巡る競争が行われ、結果として日本の自動販売機は、機能としてほとんど完成している自動販売機に更なる工夫を施し続け、大手飲料メーカーがメーカーのブランド力を主軸に据え、地方の飲料メーカーが地域色を強めるなど、独自路線を辿りつつ、ロゴベースのデザインや地域に愛されやすいデザインを追求といった形で、デザイン面での工夫も怠りませんでした。

結果として、日本の自動販売機は、設置台数と同様に性能やデザインの面においてもハイレベルなものとなるに至りましたが、これは世界の自動販売機ビジネスのレベルが日本に劣るというよりも、治安の差によるところが大きく、夜間、自衛手段無しで出歩いても余程運が悪くない限り犯罪に巻き込まれることのない日本の治安の良さから、街中や駅構内のような場所にまで自動販売機の設置が可能であったことに加え、街中にまで設置可能であったがために景観への配慮を求められた際にも、デザインによる景観との融和を図るために必要な基盤が構築できるまでにデザイン面でのノウハウも蓄えられていたことが大きいのではないでしょうか。

世界でも珍しい日本の自動販売機のデザイン性の高さ

全国にシェアを持つ大手飲料メーカーの自動販売機と比べると、ブランド力で後れを取る地方の飲料メーカーの自動販売機は、地域色を強めることで、地方自動販売機としてブランド力を高めると共に、大手飲料メーカーがロゴベースにデザイン性を高めるのとは異なり、デザイン性にも地域色を反映する傾向にあるようです。